韓国では梨が万能食材!料理と伝統医学で活躍する理由を徹底解説します

梨

韓国の梨は、見た目や味は日本の梨と大差ありません。しかしその用途は異なり、韓国では料理の必須アイテムであり、贈答品の王様でもあり、伝統医学でも用いられます。なぜ韓国料理に梨が欠かせないのか、ギフトに選ばれるのか、天然の胃腸薬と呼ばれるのかを解き明かします!

目次

韓国料理における「梨」は、隠し味ではなく「主役級の裏方」?!

梨が韓国料理に梨が欠かせない理由は複数あります。

一つずつ見ていきましょう。

■肉を柔らかくする

梨には、タンパク質分解酵素であるプロテアーゼが含まれています。このプロテアーゼは、肉をやわらかくする効果があります。梨のほかにも、舞茸、玉ねぎ、生姜、パイナップル、ヨーグルト、塩麹などの食材に含まれているそうです。確かに、これらの食材は肉と一緒に調理されることが多いですよね。ただし、これらの食材は熱に弱い性質があるので、加熱前や加熱後に生のまま・または低温で使うことで、肉の繊維をほぐし、ジューシーで風味豊かな仕上がりになります。

韓国料理で梨を使用する場合も、プルコギやカルビの焼く前の漬け込み液に梨のすりおろしを入れたり、生で食べるユッケの付け合わせとして千切りの梨が添えられます。

ユッケ

日本では、梨は食べ物の中でもデザートのイメージが強く、料理の過程で用いられたり、料理の付け合わせとして用いられることはあまりありませんが、韓国ではお肉を扱う時に梨がよく使用されるのです。

筆者が韓国で初めて韓国でプルコギを食べた時、その柔らかさの秘密が梨だと知って驚いた記憶があります。

■乳酸発酵を助ける

白菜キムチや水キムチなどのキムチに梨を入れることで、発酵がまろやかになり、深みが出るメカニズムがあります。梨の自然な甘みは、キムチの辛さを和らげ、旨味を引き立てる役割も果たします。特に、水キムチは唐辛子を使わないスープ状のキムチなので、梨を入れると、梨の甘みと乳酸発酵の酸味をよく活かせます。

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■味の完成度を高める

冷麺の独特の甘酸っぱいスープの決め手は梨。梨は、具材としてのシャキシャキ感と、スープに溶け出す上品な甘みを作り出します。砂糖を使わずとも、梨の自然な甘みで料理にコクと深みを与えるのです。また、サラダや和え物にもシャキシャキとした食感と甘みを加えるため、生のまま使われたりします。

冷麺

「梨」の伝統医学(韓方)としての顔

韓方(ハンバン:韓国の伝統医学)において、梨は単なる果物ではなく、2026年現在も呼吸器ケアや解毒に欠かせない「薬用食材」として高く評価されています。

■呼吸器の「守護神」

韓方の古典『東医宝鑑』にも記されているのですが、梨は「肺を潤し、熱を下げ、痰を取り除く」食材の代表格です。

梨には、乾燥による咳や喉の痛みを鎮める効果があり、秋冬の乾燥した気候から肺を守る「潤肺(じゅんぱい)」の効果があると言われます。また、梨の芯をくり抜き、蜂蜜や生姜、胡椒を詰めて蒸し上げた伝統的な飲み物である「배숙(ペスク/梨熟)」は、風邪の初期症状や喉の不調に対する伝統的な家庭薬として現代でも親しまれています。

■天然の「解毒・消化剤」

梨に含まれるアスパラギン酸などの成分がアルコールの代謝を助けるため、二日酔い防止や緩和に用いられます。韓国では「梨ジュース」が二日酔い対策の定番となっている背景には、この韓方の知恵があります。また、前の項で紹介したとおり、梨にはタンパク質分解酵素であるプロテアーゼが豊富なため、肉料理と一緒に摂取することで胃腸の負担を減らし、消化を助けます。肉と一緒に食べられるのは、肉を柔らかくするという目的だけではなく、消化を促すという理由もあるのです。

■体内の「熱」を制御する

梨は、体の余分な熱を冷まし、利尿作用によって老廃物の排出を促す「デトックス」の役割も担います。さらに、体内の乾燥を防ぎ、水分バランスを整えることは、韓方における美肌(=血色の良い肌)作りにも直結すると考えられており、美容にも効果が期待できると言えます。※諸説あります

王室での贈り物から現代のギフトまで!「梨は」主力ギフト

韓国において、梨はかつての王様も愛した高級食材としての歴史を持ちます。朝鮮王朝時代、梨は宮廷料理や宮廷の儀式に欠かせない高級食材だったのです。

前の項で紹介した、梨の芯をくり抜き、蜂蜜や生姜、胡椒を詰めて蒸し上げた伝統的な飲み物である「배숙(ペスク/梨熟)」は、王族が愛飲した伝統的な高級飲料です。冷やして冬のフルーツポンチとして、温めて健康茶として楽しまれたと言われています。

また、나주(ナジュ/羅州)のような特定の産地で生産された高品質な梨は、王室への献上品・貢物とされ、その品質は厳しく管理されていました。

そして、当時から薬効成分(特に喉や肺を潤す効果)が認められていたため、王室の健康管理にも重要な役割を果たしていました。

では、現代では梨はどのような食材と認識されているのでしょうか。

実は、現代韓国においても、高品質な梨は「高級品」として扱われ、季節の挨拶や感謝の気持ちを伝える際の代表的な贈答品となっています。

特に秋の収穫期には、大きく形の良い梨が選ばれ、贈答用の美しいギフトボックスに詰められて販売されます。これは、日本のお歳暮やお中元のように、相手への敬意を示す格式高い贈り物とされています。旧正月(설날/ソルラル)と秋夕(추석/チュソク)での、祭祀(チェサ)の供物として欠かせない「三色果実(梨・栗・ナツメ)」の一つでもあります。

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三色果実

中には一玉が数千円するような巨大で美しい梨もあり、敬意を表す最高の贈り物として認識されています。

オーストラリアで話題になった謎の記号「IdH」の正体は「배(梨)」?!

オーストラリアをはじめとする英語圏のSNSで、数年前に「最強の二日酔い対策飲料は『IdH』だ」という噂が広まりました。しかし、店に行っても「IdH」という名前の飲み物はどこにも売っていません。

実は、海外の人々が「IdH」と呼んでいたのは、韓国の飲料メーカーが販売しているロングセラー商品「갈아만든 <배>(カラマンドゥン <ペ>)」のパッケージロゴだったのです。意味は“すりおろし梨”でその名のとおり、すりおろし梨がそのまま入ってます。

※「배(ペ)」:韓国語で「梨」を意味するハングル。

この「배」という文字がアルファベットの「I・d・H」に見えることから、ネット上でこの呼び名が定着しました。

単なる「読み間違い」で終わらず、ここまでバズった理由は、その圧倒的な「力」にありました。

きっかけの一つは、オーストラリアの政府系研究機関(CSIRO)が、韓国の梨ジュースの効果を真面目に調査し、アルコール代謝の促進やアセトアルデヒドの抑制に関する驚きの数値データが出たことでした。これが英紙「GQ」や各国のニュースメディアで報じられ、「韓国の梨ジュース(IdH)はやばい!」と世界中に知れ渡ることになったそうです。

韓国における「梨」の偉大な力とその魅力

韓国において梨は、長く親しまれてきた食材であり、実に多様な用途で使われてきました。

今でも、伝統的な味をモダンにアレンジしたタルトやソルビン(かき氷)がカフェに並んでいたり、梨の高い水分含有量とビタミンに注目したスキンケア製品が売られていたり、現代の進化系トレンドとしても梨は大活躍しています。今後も大注目の食品のひとつです。

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この記事を書いた人

ワンジョンの編集部。
韓国・韓流の魅力をお伝えし、日々、国内の韓国スポット・グルメを追い求め活動中です。
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