日本で「わかめスープ」と聞くと、焼肉屋さんでよく見かけるスープを思い浮かべる人が多いかもしれません。さっぱりしていて、脇役的な存在というイメージもありますよね。
でも実は、韓国ではわかめスープはただのスープではなく、誕生日や人生の節目に欠かせない特別な料理なんです。
そこで今回は、思わず誰かに話したくなる、韓国のわかめスープ文化を紹介します。日本のわかめスープとの違いや本場の基本レシピもあわせて紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
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韓国の不思議なわかめスープ文化
わかめスープは韓国の食卓でもおなじみの料理で「미역국(ミヨックク)」と呼ばれています。
「미역(ミヨッ)」はわかめ、「국(クク)」はスープという意味で、韓国では食べるタイミングや場面によって特別な意味を持ちます。
●誕生日はわかめスープが定番
韓国では、誕生日にわかめスープを食べるのが定番の習慣です。これは単なる「誕生日メニュー」ではなく、自分を産んでくれた母親への感謝を込めた食文化。
韓国では、出産後の母親が体を回復させるために、わかめスープを毎日のように飲みます。
そのため、誕生日にわかめスープを食べることは、「自分が生まれた日に母親はこうして体を回復させていた」ということを思い出し、母の苦労に感謝する意味があるのです。
主役は自分でありながら、同時に母親に思いを向ける韓国らしい価値観が表れた習慣といえます。
●試験前はNG
韓国の学生たちの間には「試験前にわかめスープを食べてはいけない」という有名なジンクスがあります。
理由はとてもシンプルで、わかめのぬめりやつるつる滑るイメージが、「試験に滑り落ちる」ことを連想させてしまうため。
そのため、大切な試験の前日や当日は、わかめスープを避ける学生が多いそうです。
同じ料理でも、状況によって縁起が良くも悪くもなるのが、韓国文化の面白いところですね。
●産後は毎日わかめスープ
韓国には、「조리원(チョリウォン)」と呼ばれる出産後の母親が体を休めるための専門施設があります。
ここで必ず提供されるのが、わかめスープです。
わかめスープは、産後に必要とされる栄養が豊富で、体をやさしく支えてくれる食事だからです。
韓国では、産後に1〜2週間ほど、わかめスープを飲み続けることもあります。
それだけわかめスープは、産後の体をいたわる食事として大切にされており、産後ケアには欠かせない存在となっています。
韓国と日本のわかめスープの違い
日本のわかめスープと韓国のわかめスープは、見た目はよく似ていますが、実は中身はまったくの別物です。
その違いは、大きく分けて3つあります。
まずひとつ目は、作り方とボリューム感。
日本のわかめスープは、乾燥わかめをさっと戻し、あっさり仕上げるのが一般的。お店や家庭では、たまごが入ったタイプを見かけることも多いですよね。
一方、韓国のわかめスープでは、たまご入りのものはほとんど見かけません。その代わり、戻したわかめをごま油でしっかり炒め、量もたっぷり使うのが特徴です。さらっと飲むというより、噛んで食べる食事としてのスープという印象が強いです。
ふたつ目は、牛肉が入っていること。
韓国のわかめスープは基本的に牛肉ベース。地域や家庭によっては貝などの海鮮を使うこともありますが、牛肉を使うのが定番です。
牛乳を使うことで肉の旨みがスープ全体に行き渡り、わかめスープとは思えないほどコクのある、贅沢感のある一杯になります。
そして三つ目は、たっぷりのにんにく。
日本のわかめスープが体にやさしいマイルドな味わいなのに対し、韓国のわかめスープはにんにくのパンチが効いたスタミナ系。
初めて食べたときは驚くかもしれませんが、食べ慣れてくると「にんにくが入っていないと物足りない」と感じるようになる人も少なくありません。
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お家で簡単!韓国風わかめスープの基本レシピ
ここからは、家庭でも簡単に作れる韓国風わかめスープの基本レシピをご紹介します。
材料(2人分)
- 乾燥わかめ:10g
- 牛肉:100〜150g
- ごま油:大さじ1
- すりおろしにんにく:大さじ1/2
- 醤油:大さじ1〜2
- 水(もしくは米のとぎ汁):500ml
- 塩:少々
- 白ごま:少々
作り方
- 乾燥わかめは水で戻し、食べやすい大きさに切ります。
- 鍋にごま油を熱し、牛肉を入れて炒めます。
- 肉の色が変わったら、わかめを加えて軽く炒めます。
- 水、もしくは米のとぎ汁とにんにくを加え、中火で10分ほど煮ます。
- 醤油と塩で味を整え、仕上げに白ごまをふりかけたら完成です。
牛肉の選び方ポイント
韓国では、わかめスープに牛胸肉や牛肩肉、牛ロースなどを使い、食感が残るようにサイコロ状に切って入れるのが一般的です。
これらの部位が手に入ればぜひ使ってみてください。
もし難しければ、手に入りやすい部位を使っても問題ありません。ただし、脂の多い部位を使うとスープが重たくなりやすいので、比較的赤身の多い肉を選ぶのがおすすめです。
やさしい味わいながらもコクがあり、体にしみわたる一杯になりますよ。
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誕生日の定番!?面白すぎる韓国のわかめスープ文化を紹介【レシピ付き】まとめ
今回は、韓国ならではのわかめスープ文化や、その意味、そして家庭で作れる本場のレシピを紹介しました。
普段何気なく飲んでいるわかめスープも、韓国では「誕生日」や「母への感謝」と結びついた、特別な存在だと知ると、少し見方が変わりますよね。
ぜひこの記事をきっかけに、誕生日にわかめスープを作って、韓国風のお祝いを楽しんでみてください。
