破門され、生活の苦しさに押しつぶされそうになりながらも、ホジュンは“医者として生きたい”という想いを手放せず、再び人生の岐路に立たされます。
挫折、貧しさ、裏切り、喪失、彼をのみ込むように押し寄せる試練の数々。
それでも、傷だらけの胸に宿った“心医”という灯火は消えない。迷いながらも人を救う道を選ぼうとするジュンの姿に、観る者は自然と心を重ねてしまいます。
そして、彼を支える妻ダヒの献身、サムジョク大師やグァンイクとの再会、村の人々とのささやかな絆。
逆境の中で、ジュンの周りには「この人ならきっと救ってくれる」と信じる者たちが少しずつ増えていくのです。
しかし待ち受けていたのは、“金より命を選ぶ者”にはあまりに過酷な現実。
研鑽を積み、心をすり減らし、命を懸けてもなお、報われるとは限らない厳しい世界。
それでもホジュンは諦めない。
第16〜20話では、彼が本当の意味で“心医”へと踏み出していく瞬間が、胸を締めつけるほど繊細に描かれます。
読み進めるほどに、ホジュンが歩む険しい道のりにあなたもきっと心を奪われるはずです。
第16話:希望が見えず揺れる心。それでも人は支えられて生きていく
(c)MBC 2013 ALL Rights Reseved.
ソン大監から推薦状を得ようとしたジュンでしたが、時すでに遅く大監は明へ出発済み。
落胆したジュンは自暴自棄となり、酒と博打へ身を落としてしまいます。
そんな夫を支えるダヒは、黙って畑仕事や下働きを続け、ただそばで見守るのみ。
苦境を知ったイェジンは、母の形見まで手放して米を贈るという優しさを見せます。
一方、ユ医院を飛び出したプサンポが“男児が産まれる診断術”で金を稼いでおり、
ジュンの破門を知って「一緒に稼ごう」と誘いをかける。
生活に追われるジュンは、ついにその道へ足を踏み入れてしまう。
感想
ジュンの迷いは、ただの堕落ではなく“生きるための必死さ”が生んだもの。
そんな彼を静かに支えるダヒ、遠くから手を差し伸べるイェジン。
二人の女性の存在が、ジュンの人間としての魅力をより際立たせます。
暗闇の中でも、優しさがそっと灯る回でした。
第17話:破門の真意を知り、再び“医師”を選び直す時間
(c)MBC 2013 ALL Rights Reseved.
詐欺の共犯として捕縛され、棒叩きの刑に遭うジュン。
家に閉じこもる日々の中、彼はついに“破門が自分を守るためだった”と気づきます。
謝罪し許しを乞うも、ウィテは首を縦に振らない。
そんな折、イェジンから「サムジョク大師の元で大風瘡患者を診てみては」と助言を受け、
ジュンは迷いを断ち切り寺へ向かう決意を固める。寺では太鼓を叩き続ける少年に出会い、戸惑いながらも世話をするうちに、“医師の原点”と向き合う日々が始まる。
感想
ジュンが再び医の道へ歩き出す瞬間は、静かでありながら胸に強く響く名場面。
破門の痛みを“学び”として受け止められるようになった彼は、明らかに成長しています。
この作品が描く「人が人に育てられるドラマ性」が光る回です。
第18話:罪と赦し。心医になるために避けられない“人の闇”との対峙
(c)MBC 2013 ALL Rights Reseved.
寺での生活の中で、ジュンはついにサムジョク大師の壮絶な過去を知ります。
大師は、息子が大風瘡患者に殺されたと誤解し、逆上して一家を皆殺しにしてしまった。
罪を悔い、生き残った少年を“サンファ”と呼び育ててきたという告白。
やがて村人に虐げられたサンファたちをかばい、寺へ連れ帰ったジュン。薬が原因で昏睡に陥った大師を案じ、サンファは号泣しながら謝罪。そこへドジが現れ、イェジンがジュンを思い寺へ来たことを悟り、自ら“身を引く”道を選ぶ。
感想
大師の過去はあまりに重く、視聴者の胸にも深く突き刺さります。
それでも赦し、愛し、育み続けた大師の姿は、“医師とは何か”というテーマの核心に触れるかのよう。ジュンが心医として成長するために欠かせない強烈な一話です。
第19話:迷いながらも、ジュンは命のそばに立つ
(c)MBC 2013 ALL Rights Reseved.
大師から内医院受験を勧められ、再び科挙に挑む決意をしたジュン。
ダヒは、これまで貯めてきたわずかな金を「あなたならできる」と手渡す。
漢陽へ向かう途中、ドジと同宿となったジュンは、下働きのドルセが歯痛に苦しんでいるのを見て治療を施す。さらに村で病人が出ると、科挙を前にした医員候補たちが無視する中、
ジュンは「金より命が大事」と往診を続ける。
翌朝、出立しようとすると、診察を求める村人が次々と押し寄せ、ジュンはまたもや立ち止まることに。
感想
科挙よりも“今苦しむ人”を優先してしまうジュン。効率も成功も度外視した、純粋な医師としての本能に胸が熱くなります。この作品が愛される理由が詰まった回。
第20話:命を救った代償は大きく、それでも医師であることを選ぶ
(c)MBC 2013 ALL Rights Reseved.
村人の診察を続け、ようやく現地を出られたジュン。
しかしまたもドルセの母の危篤に遭遇し、その場を離れられない。全身全霊の治療で一命を取り留めると、ドルセは馬を手配に向かうが。
ジュンは馬泥棒の疑いで役人に捕まってしまう。
村人の訴えで無実が証明され、馬を与えられるも、科挙会場にたどり着いた時には、すでにすべてが終わっていた。
一方ドジは、医官への賄賂による後押しもあり、見事に合格する。― 感想 ―
ゴールに手が届きながら、届かない。
視聴者も思わず涙するほどの“残酷な現実”。
しかしジュンは、助けた命と向き合いながら前に進むしかない。
彼の真っ直ぐさが、希望と切なさを同時に生む秀逸なエピソードです。

