壮大なスケールで描かれる韓国歴史ドラマの名作『朱蒙(チュモン)』。
今回は、第67話〜第76話 のあらすじと感想をお届けします。
いよいよ物語は高句麗建国という歴史的瞬間へと突き進みます。朱蒙とテソ、そして運命に翻弄されながらも強く生きる女性たち。
国と家族のために戦う人々の姿に、深い感動が宿る章です。
第67話:勝利の先にある“慈悲”

卒本(チョルボン)とタムル軍は扶余(プヨ)・漢の連合軍を打ち破る。
だが朱蒙は、飢える扶余の民を見捨てられず、援助を決意。
ソソノが交渉役として扶余へ向かうが、テソは暗殺を進言。
ユファはソソノから抜け道の地図を受け取り…。
感想
勝利の中にも「敵国の民を助ける」という朱蒙の高潔な精神が光る。
ソソノの知略とユファの思慮深さが交差する、静かな緊張感のある回。
第68話:母の死、涙の再会

ユファの死、そしてイェソヤとユリの死を知らされた朱蒙は絶望の淵へ。
始祖山(シジョ山)で行われる葬儀に姿を現し、クムワに遺骸の引き渡しを求める。
母への愛と憎しみ、父王への複雑な思いが交錯する。
感想
朱蒙が人としての“弱さ”を見せる貴重な回。
涙に沈むシーンの静けさが、かえって強烈な余韻を残す。
母ユファの死が、朱蒙の“王としての覚醒”を決定づける。
第69話:神器の継承、運命の引き金

古朝鮮の三種の神器を手に入れた朱蒙は、玄菟(ヒョント)攻撃を決意。
一方、ユファの死に動揺するクムワをよそに、テソとプドゥクプルは独断で出兵を決める。
感想
“神器=正統なる血統”という象徴が、朱蒙の存在を神話的に高めていく。
王の座を奪い合うのではなく、“受け継ぐ”姿勢が朱蒙らしい。
クムワの衰退と朱蒙の台頭――時代が移り変わる瞬間を感じる。
第70話:罠と母子の影

ヨンポは、イェソヤとユリを人質にチュモンへ取引を持ちかける。
マリが玄菟城へ向かうが、二人はすでに脱出した後。
ヨンポの罠を見抜いたチュモンは、冷静に戦略を立て直す。
感想
ヨンポの狡猾さとマリの忠義が対照的。
“人の命を駒にしない”朱蒙の信念が際立つ回。
愛する家族の行方を追う朱蒙の人間味が、切なさを倍増させる。
第71話:天命の戦い、父の決断

タムル軍は玄菟城を制圧。
プドゥクプルはクムワに援軍を進言するが、「朱蒙の勝利は天の定め」と退けられる。
一方、挑発されたテソとヤンジョンは卒本(チョルボン)攻撃を開始。
感想
クムワの言葉「それが天の定めだ」は、父としての最後の愛。
朱蒙への信頼と、王としての引き際が見事に描かれる。
“勝利”ではなく“宿命の継承”の瞬間。
第72話:玄菟陥落と、父の終焉

朱蒙は玄菟郡を陥落させる。
敗北したテソは怒りに任せ、ユファの位牌を燃やせと命じるが、
クムワが止めに入り倒れてしまう。
朱蒙は漢との和平を模索し、捕虜交換を提案する。
感想
父と息子、兄と弟――血のつながりが悲劇を呼ぶ。
クムワの最期が近いことを感じさせる、静かで痛切な回。
朱蒙の中で“戦う理由”が愛から国家へと変わっていく。
第73話:建国前夜、揺れる心

高句麗(コグリョ)建国を前に、内部対立が発生。
卒本勢力はソソノを王に、タムル軍は朱蒙を王に推す。
争いを止めるため、朱蒙は一喝するが、ヨンタバルは意外な提案をする。
感想
理想を掲げる朱蒙と、現実的なソソノ――二人の距離が象徴的。
“共に国をつくる”ことの難しさが描かれ、政治的リアリズムが増す。
人間ドラマとしても非常に成熟した章。
第74話:息子たちの運命と再会への道

成長したユリは病気の母を支えるため闇取引に手を染める。
一方、高句麗ではソソノの息子ピリュとオンジョが立派に成長。
ピリュは北沃沮(プゴクチョ)への任務中に襲撃を受ける。
感想
時代の流れと共に“次世代の物語”が動き出す。
母としてのイェソヤの献身が痛々しくも美しい。
過去と未来が交錯し、物語が世代交代を迎える。
第75話:母の再会、兄弟の宿命

商団襲撃の罪で追われたユリとイェソヤは逃亡。
朱蒙は彼女たちの生存を知り、捜索を開始。
一方、クムワはテソに王位を譲ることを決断。
新たな王の誕生とともに、扶余の運命が動き出す。
感想
失われた家族が再びつながる“希望”と“宿命”の物語。
父から息子へ、愛と苦しみの連鎖が静かに受け継がれる。
感情の奥行きが深く、見ごたえのある回。
第76話:新王テソ、兄弟の再会

テソの即位式に、朱蒙や漢の使節団が集まる。
同盟をめぐり迷うテソに、プドゥクプルは現実的な判断を求める。
そして祝賀の武術大会では、ピリュとユリが運命的に対峙する。
感想
世代を超えて再び巡り合う“血の因縁”。
ピリュとユリ――二人の剣が交わる瞬間、歴史が新たに動き出す。
戦ではなく“次世代の絆”が中心となる、象徴的な一話。
第77話(予告):宿命を超え、未来へ

チュモン一行は刺客に襲われるが、ユリが救出。
漢の陰謀を察知した朱蒙は、ついに扶余へ戻りテソと対峙する。
運命の兄弟は、今度こそ“真の決着”を迎える――。
まとめ|建国と再会、そして“朱蒙”の完成
第67話〜第76話は、まさに**“王の誕生と家族の再生”**を描く章。
- 母ユファの死が朱蒙を“個人”から“国の象徴”へ導く
- ソソノとの信頼関係が“理想の国家像”を形づくる
- 息子ユリの登場が“新しい時代”の幕開けを告げる
家族愛と国家への使命が交錯し、壮大なスケールで物語が頂点に達します。
高句麗建国という史実の裏に、人間の情熱と哀しみが息づいていることを実感させる章です。
ワンジョン編集部より
『朱蒙』は、戦乱の中でも人としての温もりを失わない、“愛と誇りの物語”です。40代以上の女性が見ると、
母ユファやソソノ、イェソヤといった女性たちの強さと優しさに深く共感できるはず。
激動の時代を生き抜く彼女たちの姿は、時代を超えて心を動かす“生き方の教科書”とも言えるでしょう。

