韓国の結婚式の行い方や参列者のルールなどは、実は日本とはかなり異なるのです。どのような点で異なるのかを、実際に韓国で結婚式を挙げて結婚生活を送っている筆者が解説していきます!
それでは、韓国にある商品や食べ物、文化など…さまざまなことに興味深々な韓国在住ライターKARENが、韓国に住んでいるからこそ持っている視点も交えながらお届けいたします〜!
韓国の結婚について
韓国の結婚年齢
まずは、韓国人の結婚年齢について日本と比較してみましょう。
平均初婚年齢は30歳前後と日本と大差はありません。しかし、最近は日本よりも晩婚化が進んでいると言われています。韓国人の結婚年齢が遅れてきている理由として、男性は結婚式の費用や新居の確保などの「経済的負担」が大きすぎる、女性は家事、出産、子育てなどの「役割に対する負担」が大きすぎるという意見を持っている人が増加しているのだとか。
韓国の結婚準備
次に、韓国では結婚式の前に事前に準備するのでしょうか?
先ほど少し触れましたが、結婚式の費用は基本的に男性側が持ちます。さらに、新居も男性側が用意します。この決まりは、昔からの習わしで、今でも引き継がれているルールです。一方、女性側は「혼수(婚需/ホンス)」と呼ばれる嫁入り道具を準備します。家具や寝具、家電、結婚式で着る伝統衣装などがそれにあたります。
韓国の結婚の際の贈り物
日本のような格式ばった結納は行いませんが、それぞれが金品を贈りあう風習はあります。
贈り物の種類は2つあり、「예물(礼物/イェムㇽ)」と「예단(礼緞/イェダン)」と呼ばれます。
■예물(礼物/イェムㇽ)
結婚前の男女がお互いに贈る記念品。ペアリングや腕時計が一般的。
■예단(礼緞/イェダン)
新婦側から新郎側の家族や親戚に贈るもの。昔は絹の織物を贈っていましたが、現在では現金を贈ることが一般的。
ちなみに、新郎側はこの「예단」に対して受け取った額の半額相当を新婦側に贈ります。「봉채(ボンチェ)」または「꾸밈비(クイㇺビ)」と呼ばれます。
韓国の結婚式前のプロポーズ
韓国のプロポーズは、タイミングや内容が日本と異なります。
プロポーズのタイミングは、次の通りです。
・2人で結婚しようと決める
↓
・両家顔合わせ
↓
・結婚式場を抑える
↓
・結婚式直前にプロポーズ
↓
・結婚式
↓
・婚姻届提出
結婚式場を抑えた後にプロポーズするのは、日本人からしたら驚きではないでしょうか?!
そして、日本ではプロポーズの際に婚約指輪を贈り、婚約指輪と結婚指輪の二つをあわせて「ブライダルリング」と認識している指輪についても、韓国ではスタイルが異なります。
韓国の結婚でも指輪を贈る習慣は存在するものの、結婚指輪を「3つ」渡すと言われています。婚約指輪の概念はありません。
その3つとは、「石が留められた指輪」「普段使いできるファッションリング」そして「ゴールドの指輪」。この習慣は伝統的に定着しているものであり一般的となっています。ただし、時代とともに結婚指輪を贈る習慣も変化しており、最近では若者を中心に「普段使いできるファッションリング」と「ゴールドの指輪」の2つを贈る人が増えているようです。
韓国には婚約指輪の概念がないので、プロポーズの方法に関してはこだわりが強いのですが、婚約指輪の用意はなく他の方法でサプライズします。
韓国の結婚式のスタイル
韓国の結婚式の会場
韓国の結婚式はホテルや結婚式場で行われることが多いです。
この点は日本と同様ですね。ただし、似ているのはここまでです。会場以外はスタイルが異なりますので、順に見ていきましょう!
韓国の結婚式の参列者
韓国の結婚式の参列者はとにかく多いです!日本では50人前後が平均的ですが、韓国の結婚式では100人200人…は珍しい数ではないです。
これほど参列者が多くなる理由は、家族や親せき、仲の良い友達、同じ部署やチームの仕事仲間のほかにも、仲のいい友達のパートナーやほとんど関わりのないが同じ会社の人など、繋がりが薄い人たちまで参列できる文化だからです。韓国の結婚式では、日本のように席があらかじめ決まっているわけではなく、基本的に自由席となっています。(ただし、家族席や親戚席は確保されていることもあります。)ですので、参列者も予め決まっているわけではなく自由参加なのです。
韓国の結婚式の招待方法
韓国の結婚式の招待状は、基本的にモバイル招待状です。
モバイル招待状には結婚式のインフォメーションのほか、新郎新婦の電話番号や銀行口座情報、結婚式の前撮り写真の一覧などがコンテンツに含まれます。
ここで、「新郎新婦の銀行口座情報?!」と驚かれたのではないでしょうか?何のためかを解説しますと、「結婚式に参列ができないが、お祝いしたい気持ちを示したい」人用にご祝儀を送金するための情報として提示しているのです。
また、結婚式の前撮り写真も含まれるとお伝えしましたが、この前撮り写真も日本とスタイルが異なります。韓国では結婚式の一連の流れにおいて、前撮り写真を重要視します。日本の前撮り撮影よりもかなり気合が入っている印象です。
ドレス選びやメイクアップ、小物の選択、撮影場所に至るまで、専門のウェディングショップにトータルプロデュースしてもらいます。このプロデュースのクオリティは驚くほど高いです!費用もそれなりにかかるのですが、1日がかりで撮影を行い、数千枚の写真データを受け取り、気に入った写真のレタッチまでしてもらえます。野外撮影も人気です。
特に仲がいい友人などには、直接会いに行き紙の招待状を渡すことが多いです。
日本では紙の招待状を郵送するパターンが多いですが、韓国は直接渡すことが礼儀です。食事を兼ねて直接会い、集まってくれた人たちの分を奢ります。
韓国の結婚式の流れ
韓国の結婚式は、1時間程度で終わります。日本のように手の込んだ披露宴がないからです。
では、この1時間の中で何が行われるのでしょうか。
・結婚式が始まる前
豪華に装飾された新婦待機室で新婦が待機しています。始まるまでの時間に、一緒に写真撮影を楽しみます。プロのカメラマンが撮ってくださるので、とても綺麗に仕上がりますよ。
写真のように、鼻に囲まれたソファーに新婦が座っているので、隣へ座って写真撮影します。
①司会者の挨拶
韓国の結婚式では、司会者を外部委託します。自分で探して気に入った司会者に依頼します。
結婚式専門の司会者の方も多く、その腕前で式を楽しく盛り上げてもらえます!
②両家の母親の入場
韓国の結婚式では、新郎新婦の両親は一番前に座ります。開始後すぐに、両家の母親は後方にある扉から入場し、前方にある座席まで腕を組みながら進みます。前方に到着したら、ろうそくに火をつけてから着席します。ろうそくに火をつける意味は、「二人の未来がずっと明るくありますように」ということらしいです。
ちなみに新郎側の父親は、予め前方の座席に着席しています。
③新郎の入場
新郎は一人で入場します。一人での入場なので、司会者が新郎へ話しかけたりして、寂しい雰囲気にならないように誘導してくれます。
④新婦と新婦の父の入場
新婦と新婦の父が手を取り合ってバージンロードをゆっくりと進みます。
⑤新郎と新婦の礼
新婦が前方に到着したら、新婦の父は新郎とハグをした後に座席へ着席します。
新郎と新婦は向かい合ってお辞儀をし、続いて客席に向かってもお辞儀します。
⑥愛の誓い
新郎と新婦は客席に向かって、愛の誓いを述べます。
予め内容は自分たちで決めておきます。テンプレートがあるので、どの式でも大体皆さん同じ内容です。
⑦新郎の父による言葉と成婚宣言文
新郎の父が新郎新婦に向けたお祝いの言葉および成婚宣言文を述べます。ここでは、新郎新婦のエピソードなども交えてお話ししたりして、お客さんのひと笑いを誘ったりもします。
⑧結婚指輪装着
お互いに結婚指輪を付け合います。
⑨新郎新婦の友人による祝いの歌
新郎側の友人と新婦側の友人から一人ずつ、祝いの歌を歌います。
選曲は、結婚式にふさわしい歌なら何でもいいです。祝いの歌を担当する人は、数カ月前に新郎または新婦から依頼を受け、結婚式当日まで練習します。
大抵、新郎または新婦と最も仲のいい人が歌います。日本の結婚式で言う友人代表スピーチの立ち位置と似ています。
⑩新郎新婦と両家の両親との挨拶
前方の上手(客席から見て右側)に新婦側の両親、下手(客席から見て左側)に新郎側の両親が座っているのですが、新郎新婦は上手と下手を順に回って両家の両親に挨拶します。新郎は手を床について深いお辞儀をして新婦は立ったまま深くお辞儀し、そしてハグをします。
⑪ケーキカット
日本の結婚式ではケーキカットはほぼ必須ですが、韓国ではしない人の方が多い印象です。昔はほぼ必須だったようです。希望する場合は、このタイミングでシャンパングラスを手に祝福の乾杯をします。
⑫退場
新郎新婦は手を取り合って退場します。
⑬写真撮影&ブーケトス&食事
新郎新婦が退場したら式は終了です。司会者も終わりの挨拶をして退場します。
退場後、お客さんは会場内に用意されたビュッフェ料理を自由に楽しめます。
一方、その間に新郎新婦はそのまま会場内で写真撮影です。
この時もプロのカメラマンさんが撮ってくださいます。新郎新婦のツーショットから始まります。キスをするショットは、花びらも天井から舞い落ちて最高のショットになるので、お客さんたちもカメラを向けます。
その後、家族写真や友達との写真の撮影を行います。友達との撮影時には、新婦からのブーケトスもあわせて行います。ブーケトスに関しても日本と大きな違いがあります。韓国の結婚式では、ブーケトスを受け取る人を事前に決めておきます!選出基準は、新婦と仲が良いかつ、次に結婚見込みのある女性です。選ばれた友人が前に出てトスを受け取ります。その瞬間もカメラマンさんが撮影してくださいますよ。とても素敵な記念になりますよね。
⑭ペベク(폐백)
ペベク(폐백)とは、韓国の結婚式で行われる伝統的な儀式のことです。新たに結婚した夫婦が、夫の家族に挨拶し迎え入れられるために行われます。
結婚式が終わった後にぺベク室という部屋へ移動し、基本的には旦那さんの方の家族のみで行いますが、両家で行う場合もあります。専用の伝統衣装に着替えて、お酒を注ぎながら挨拶をしたり、栗とナツメを投げる儀式を行います。
栗とナツメを投げる儀式とは、新郎側の両親が栗とナツメを新郎新婦に向かって投げ、新郎新婦が一枚の布を広げてキャッチすることを指します。受け取れた数によって将来生まれる子供の数を占います。ちなみに、栗は女の子が生まれる数、ナツメは男の子が生まれる数です。…不思議な儀式ですよね?
最後にお金を受け取ります。「新婚生活で使ってね」という意味です。
そして、お酒を注ぎながら挨拶することとお金を受け取る流れを、親戚とも繰り返し行います。
韓国の結婚式のご祝儀
韓国の結婚式でもご祝儀は準備します。ご祝儀は受付時に渡し、このご祝儀が結婚式中のビュッフェのチケットと引き換えになるシステムです。
金額的には、基本的には50,000ウォン〜で、特に仲のいい人の場合は500,000ウォン包む場合もあります。日本のように悪い意味を持つ数字などを気にする必要はなく、気持ちの分だけご祝儀を包みます。
また、ご祝儀袋も日本と異なります。
日本のような豪華な専用の袋を準備する必要はなく、受付ブースにおいてある袋に入れればいいです。
韓国の結婚式のドレスコード(服装やヘアスタイル)
韓国の結婚式のドレスコードは、日本ほど厳しくありません。
厳密に気にする場合は、全身白や全身黒は避けるべきです。また、スニーカーやジーンズ、Tシャツなどカジュアルすぎる服装も避けるべきです。
男性は無難にスーツを着用する方が多いですが、必ずしもスーツでないといけないわけではないです。
女性は、日本のように美容室でヘアセットする必要はないですし、パールのアクセサリーをつけたり、肌が見えすぎないようにストールを巻いたり、つま先の隠れるパンプスを履かなくてもよいです。
女性の服装は、少しいいレストランに食事しに行くくらいのイメージでしょうか。
韓国の結婚式を実際に経験した感想
まずは、招待状を送る前に撮影した前撮りのクオリティが高すぎて驚きました。
嬉しいことに、友人からも「日本の前撮りとは雰囲気が全く違って新鮮」「メイクや衣装、小物がとても似合っている」「韓国ドラマや韓国の広告をみているよう」などのコメントがありました。わたしのウェディングフォトを見て、「韓国でも前撮りしたい!」という日本人の友人カップルもいました。
結婚式自体は、韓国での結婚式には慣れなかったので緊張しましたが、ウェディングショップのスタッフさんが1日中つきっきりで面倒をみてくださり安心して進行することができました。「のどか湧いていない?」「泣いてしまったらメイクが崩れないように、こう拭いたらいいよ」など細かく気遣って声をかけてくださいました。
会場は花やシャンデリアでとても華やかに装飾されて、ずっと夢の中にいるような気分でした。
ウェディングドレスは、韓国で人気のあるビジューがで埋め尽くされたキラキラドレスを着用しました。ペベク以降は、結婚式のためにオーダーメイドした韓服を着用しました。どちらも会場内で綺麗に映えるデザインで、友人からも好評でした。後から仕上がる当日の写真が届くのが、大変楽しみです。
ちなみに、私の母は着物を着用しました。韓国の結婚式では、本来は両家の母親は韓服を着用するのですが、わたしの母は日本人で着物好きだったので着物を着用することになりました。
日本では黒の留袖を着ますが、韓国では新郎側の母がブルー系の韓服、新婦側の母がピンク系の韓服を着用するので、私の母の場合は淡い紫の着物を着ました。
韓服と着物のコラボレーションは、とても華やかでした。
お祝いの歌は、「世界中の誰よりきっと」を友人へ依頼しました。実はこの歌、韓国でもカバーされていて韓国でも幅広い年齢層で認知されています。拍手喝采でした!
私の場合、日本からも友人を招待していましたが、披露宴がなかったため日本人の我々にとっては少しもの寂しさがあったので、夜に2次会を開きました。結婚式中はお客さんが多い分(500人ほどでした…)ひとりひとりと話せる時間が限られてしまっていたため、このタイミングでやっとゆっくり話せました。結婚式後に改めて2次会を開いて正解だったと思います。
韓国の結婚式は、日本と全然違う?!-まとめ
今回は、実体験も踏まえながら韓国の結婚式についてご紹介してみました。
韓国の結婚式にはなかなか参列できる機会がなく、知らないことが多かったのではないでしょうか?
実は日本の結婚式との違いがたくさんあり興味深いですよね。