韓国ドラマを観ていると、仕事帰りに屋台などで、緑色の小瓶に入った韓国焼酎をショットグラスでクイッと空ける場面が頻繁に登場します。実際に韓国人はお酒をよく飲みます。そこで、韓国人がお酒に強い印象がある理由と、彼らの二日酔い対策について考察します!
「韓国人はお酒が強い」というイメージの正体を探る
WHO(世界保健機関)などの統計を見ても、韓国の1人あたりのアルコール消費量はアジア圏でトップクラスなのは事実です。しかし、なぜこれほどまでに韓国人に「お酒に強い」というイメージが定着したのでしょうか。理由を考察してみます。
① 情を分かち合うコミュニケーションの手段として、お酒の席がピッタリ
韓国社会において、お酒は単なる嗜好品ではなく、人間関係を円滑にするための潤滑油のようなものです。韓国には「정(ジョン/情)」という独特の概念があり、一緒にお酒を飲み、酔いをさらけ出すことで、相手との心の壁を取り払うことができると考えられています。 「今日はお酒を一杯やろう」という誘いは、単なる遊び目的だけではなく、「あなたとより良い関係構築がしたい」という意思表示でもあるのです。
② 韓国独特の飲酒ルールである献杯と返杯
韓国の飲み会には、独自の「マナー」が存在します。たとえば、以下のようなものです。
・空いた杯はすぐに満たす: 相手のグラスが空いているのを放置するのは失礼にあたります。
・自分のペースで飲まない: 「乾杯!」の合図で全員が同時に飲み干す場面が多く、結果として全員が一定以上のペースで飲むことになります。 この集団主義的な飲酒スタイルが、外部から見た時に「みんなが豪快に飲んでいる」という強い印象を与えています。
③ 爆弾酒の文化
韓国焼酎をショットグラスでビールグラスに注ぎ、そこにビールを注いで混ぜる「소맥(ソメク/焼酎+ビール)」が代表的な韓国の爆弾酒。混ぜることで飲み口がまろやかになり、アルコール度数が体感的に下がってスイスイ飲めてしまうため、摂取量が跳ね上がります。この「混ぜて、一気に飲む」というスタイルも、強さのイメージを強めているかもしれません。
▼爆弾酒「소맥(ソメク/焼酎+ビール)」についてより詳しく知りたい方はこちら


科学的な視点ではどう?韓国人のアルコールに対する体質的特徴
韓国人がお酒に強いのかどうかを考えるとき、精神面、すなわち気持ちの持ち方の問題だけではなく、生物学的な側面も無視できません。アルコール分解酵素の保有率など、科学的な視点で見てみるとどうでしょうか?
日本人や韓国人、中国人などの東アジア人は、遺伝的にアルコールを分解する酵素「ALDH2」の働きが弱い、あるいは欠損している人が多い人種と言われています。 しかし、細かい統計調査によると、韓国人は日本人と比較して、この酵素を正常に持っている(お酒を飲んでも顔が赤くなりにくい)人の割合が数パーセントから十数パーセント高いというデータもあるそうです。わずかな差ではありますが、民族全体として見れば「お酒を受けつけない体質の人」が日本より少ない傾向にあるのは事実のようです。
進化しすぎ?!韓国の「二日酔い対策」の文化
韓国では、これだけお酒を飲む文化が根付いている以上、翌日のダメージを最小限に抑えるための知恵もまた、とても充実しています。韓国では二日酔い解消のことを「헤장(ヘジャン)」と呼びます。韓国で実際に行われる多様な「헤장(ヘジャン)」の方法を紹介します。
① 飲む前・飲んだ後に必須!コンビニにある二日酔い対策アイテム
韓国のコンビニには、二日酔い対策サプリやドリンクが並べられていることが多いです。これらの市場規模は年間数百億円とも言われ、製薬会社が本気で開発にしのぎを削っているのです。
韓国で最も一般的な二日酔い対策成分は「ケンポナシ」という木の抽出エキスです。肝機能の保護やアルコール分解を助けると言われており、「헛개나무차(ホッケナムチャ/ホッケナム茶)と呼ばれるお茶としても広く親しまれています。このお茶は、コンビニの二日酔い対策コーナーではなく、お茶が置かれているコーナーで探してみましょう。
最近のトレンドは、「飲む前にサプリ、飲んでいる最中にドリンク、飲んだ後にアイス」という徹底ぶりも若者の間でよく見られます。お酒を飲んだ帰り道に冷たいアイスクリームを買って食べると、脳がスッキリとリセットされたような感覚になります。

② 究極の救済食?!「헤장국(ヘジャンクㇰ/酔い覚ましスープ)」
韓国には、二日酔いを治すための専用スープ「헤장국(ヘジャンクㇰ/酔い覚ましスープ)」を出す専門店が街中のいたる所にあります。「헤장국(ヘジャンクㇰ/酔い覚ましスープ)」には、いくつか種類があります。ここでは、特に代表的なものを紹介します。
・북어국(プゴクㇰ/干し鱈のスープ): 高タンパク・低脂肪で、肝臓の再生を助けるアミノ酸(メチオニン)が豊富。あっさりとした味。
・콩나물국(コンナムルクㇰ/豆もやしのスープ): もやしの根の部分に含まれる「アスパラギン酸」がアルコール分解を強力にサポート。安価でどこでも食べられるサラリーマンの味方です。
・뼈해장국(ピョヘジャンクㇰ/豚背骨のスープ): 逆に、コクがありガッツリと辛いものを食べて汗をかき、毒素を出そうというスタイル。スタミナ補給も兼ねています。
・선지해장국(ソンジヘジャンクㇰ/牛血入りスープ):新鮮な牛の血を凝固させた「ソンジ」を具材にした、コクのある味噌仕立てのスープ。鉄分豊富な선지(ソンジ/牛の血の塊)がスタミナ補給にも抜群です。
変化する韓国の飲酒スタイル
ここまで、韓国人のお酒の強さや、その理由について探ってきましたが、最後に最近の韓国の飲酒事情について見てみましょう。最近の韓国では、飲酒スタイルに少しずつ変化が起きているのです。
●MZ世代の「ヘルシードリンキング」思考
若者の間では、昔ながらの強制的な飲み会を敬遠し、美味しいお酒を適量楽しむ文化が主流になってきています。
●ノンアルコール・低アルコールの普及
健康志向の高まりから、昔からメジャーとされている韓国焼酎(16度〜20度)ではなく、低アルコールのカクテルやノンアルコールビールを好む層が急増しています。
●一人飲みの機会の増加
「혼술(ホンスル/一人でお酒を飲むこと)」という言葉が定着し、集団で競うように飲むスタイルから、個人の時間を楽しむスタイルが人気になりつつあります。
韓国人のお酒が強いイメージの背景には、おもてなしの心がある

韓国人がお酒に強いイメージがあるのは、単なる体質の問題だけではありません。
「相手と同じ杯を交わし、苦楽を共にする」という、深い連帯感を重んじる「정(ジョン/情)」文化の表れでもあります。
彼らの二日酔い対策がこれほどまでに充実しているのは、それだけ「誰かと飲む時間」を大切にしてきた証拠とも言えるのではないでしょうか。
韓国旅行でたくさんお酒を楽しんだ後は、現地の「헤장국(ヘジャンクㇰ/酔い覚ましスープ)」まで試してみるのがおすすめです!
▼韓国のお酒の定番おつまみを紹介した記事もあります。こちらもご覧ください。


