韓国発のグローバルショートドラマプラットフォーム Vigloo が、映像業界の新たな潮流を象徴する挑戦をスタートさせました。Viglooの既存実写オリジナル作品『理想彼氏 -5人のイケメンとJKのキス-』を、AI技術を活用してアニメーション化し、2025年12月24日に公開すると発表しました。
この取り組みは、単なるメディア変換ではなく、既存IPを多角的に育てていくOSMU(ワンソース・マルチユース)戦略を本格的に始動させる第一弾として位置付けられています。
AI活用が加速する映像制作の現場
近年、映像制作の現場ではAI技術の導入が急速に進んでいます。背景には、制作コストの高騰や人材不足といった課題があり、少人数・低予算でも一定以上のクオリティを担保できる制作手法が強く求められている現状があります。
今回の『理想彼氏』アニメ化は、まさにその流れの中で企画されたプロジェクトであり、ViglooにとってはAIを本格的に制作工程へ組み込む初の検証事例となります。
AIの導入により、キャラクターデザインや動き、表情表現、美術表現の一部を効率化しながらも、セルアニメ特有の滑らかさや感情の機微を丁寧に再現。結果として、制作体制をスリム化しつつも、作品としての没入感や完成度を高めることに成功しています。
なぜ『理想彼氏』が選ばれたのか
AIアニメーションの第1弾として本作が選ばれた理由には、ジャンル特性とIPの相性があります。
ロマンス、学園ドラマ、そしてファンタジー要素を含む物語は、アニメーションとの親和性が非常に高く、実写では表現に制約があったシーンや感情描写を、より自由に描くことが可能になります。
5人の個性豊かなイケメンキャラクターや、主人公ヒメカの揺れ動く心情は、アニメという表現手法によって視覚的にも感情的にも強調され、物語への没入感を一層高めています。
これは単なる「実写のアニメ化」ではなく、IPの魅力を再解釈し、拡張する試みと言えるでしょう。
OSMU戦略がもたらすIP価値の最大化
今回のプロジェクトの本質は、AI技術そのもの以上に、OSMU(ワンソース・マルチユース)戦略の本格始動にあります。
ひとつのIPを起点に、実写、アニメ、さらには今後の別フォーマットへと展開していくことで、
- ファンとの接点を増やす
- 異なる嗜好を持つ視聴者層を取り込む
- IPの寿命を延ばし、長期的な価値を創出する
といった効果が期待されます。
特にViglooのようなグローバルプラットフォームにおいては、アニメーションという表現は言語や文化の壁を越えやすく、海外展開との相性が非常に高い点も見逃せません。
30〜50代女性に響くポイント
SmartNewsやグノシーの主要読者層である30〜50代女性にとって、本作は単なる若者向け恋愛作品ではありません。
韓国発コンテンツならではのロマンティックな世界観、少し非日常的な設定、そしてAIという最新技術が融合することで、
「今、韓国エンタメはどこへ向かっているのか」
「これからの映像体験はどう変わるのか」
といった視点でも楽しめる内容になっています。
韓国ドラマやKカルチャーに親しんできた世代にとって、実写×アニメ×AIという組み合わせは、新しさと懐かしさが共存する、非常に興味深い試みと言えるでしょう。
今後のViglooの展望
Viglooは本作を皮切りに、AIアニメーション制作体制の内製化を段階的に進め、オリジナルIPのさらなる多フォーマット展開を視野に入れています。
制作責任者が語る「ジャンルや制作フォーマットへの深い理解と専門性こそが、AIを活用するうえでの競争力になる」という言葉からも、効率化だけでなく表現の質を重視する姿勢が明確に伝わってきます。
AIとクリエイティブの融合は、まだ発展途上の分野です。しかし今回の取り組みは、IPビジネスの未来を考える上で、ひとつの重要なモデルケースとなるはずです。
<作品情報>
- 公開日:2025年12月24日(水)
- タイトル:理想彼氏 -5人のイケメンとJKのキス-
- ジャンル:ロマンス/学園ドラマ
韓国発コンテンツの進化と、AIが切り拓く新しい映像表現。その最前線を体現する本作は、エンタメ好きな大人世代にこそ注目してほしい一本です。
