王妃選びを巡る策謀、王子たちの運命を左右する診断、そして一冊の医書に人生を賭けた医師の覚悟。
宮廷という権力の中心で、ホ・ジュンは最後まで「医は誰のためにあるのか」を問い続けます。
名誉でも地位でもなく、人の命と向き合うために生きた男の物語は、やがて静かで崇高な終幕へと辿り着きます。
第61話:王妃選びと医官の良心が試される時

王妃選びを巡る政治的な思惑の中、
ゴンリャンは自らの権力を守るため、ドジに不正を強要します。
対立候補の家系の病歴を捏造し、
王妃の座を意のままに操ろうとするその姿は、
医官の職責を踏みにじる行為でした。
一方、ジュンは医書研究のため明への渡航を願い出ます。
それは出世のためではなく、
「より多くの命を救うための学び」でした。
宮廷では王妃の体調異変が表面化しますが、
ドジはその症状を軽く見てしまいます。
第62話:想像妊娠と揺れる王権

ジュンの帰国後、
王妃の懐妊は「想像妊娠」であったことが明らかになります。
重臣たちの反発を受けながらも、
ジュンの診断は医女たちの判断によって裏付けられました。
やがて王妃は実際に男児を出産し、
王は大きな喜びに包まれます。
しかしその瞬間から、
光海君の立場は不安定になり、
宮廷には新たな緊張が走ります。
同時に、オンニョンの結婚生活の影も描かれ、
人生が必ずしも「正しい選択」で幸せになるわけではない現実が
静かに示されます。
第63話:医書か、王子か――究極の選択

医書編纂の予算打ち切りという知らせが届く中、
光海君が重篤な症状を訴えます。
しかしジュンは、王妃の子・永昌大君の診察を命じられ、
両陣営の板挟みに遭います。
やがて光海君が倒れ、
ジュンはヒ素という危険な薬を使った治療を選択。
王から中止を命じられながらも、
「使い方次第では毒も薬になる」と訴えます。
第64話:脅迫と回復、そして忍び寄る終焉

光海君は奇跡的に回復しますが、
裏ではソヒョンを人質に取った卑劣な脅迫が行われていました。
それでも証拠は残らず、
黒幕は裁かれません。
同時に、王・宣祖の衰えがはっきりと描かれ、
宮廷全体に「終わりの気配」が漂い始めます。
第65話:王命書と覚悟の告白

王命書を巡る最終局面。
ジュンは命の危険を承知で、
王の遺志をソン大監に伝えます。
それは、自らが罪を背負うことを意味していました。
すべてを理解したジュンは、静かに別れを告げ、連行されていきます。
第66話:流刑地に灯る医の火

死罪を免れ、流刑となったジュン。
山奥の地で、
罪人として、しかし医師として生き始めます。
診る資格はないと言われながらも、
患者の苦しみに抗えず、
再び人々を救う日々が始まります。
第67話:東医宝鑑、魂の完成

仲間たちの尽力で進む医書編纂。
ついに完成した「東医宝鑑」。
赦免されたジュンは、それでも宮廷には戻らず、民の中で生きる道を選びます。
第68話:心医の最期

凶作と疫病に見舞われた山陰。
ジュンは自らも感染しながら、最後まで患者を救い続けます。
薬を分け与え、鍼を打ちながら、静かにその命を終える。
それは、あまりにも穏やかな最期でした。
感想
叫びも、涙もない。
ただ「人を救う姿」だけが残ります。
ホ・ジュンは、最後の瞬間まで心医でした。
深い静寂と感謝が、胸に広がります。

