韓国歴史ドラマの金字塔『朱蒙(チュモン)』いよいよ物語は最終章、第77話から最終話へ。
長きにわたる戦乱と兄弟の確執、そして愛する家族との再会を経て、朱蒙はついに「一人の英雄」から「国家を築く王」へと成長します。
この章では、戦いや策略の裏で描かれる“人の心”と“絆の強さ”が深く胸を打ちます。
第77話:兄弟の選択、苦渋の同盟

チョンム山で刺客の襲撃を受けたチュモン一行。
しかし、その危機を救ったのは、自らの命を賭けて戦ったユリだった。
この事件をきっかけに、朱蒙は漢の陰謀を確信し、扶余(プヨ)へ戻りテソに真相の究明を求める。
一方のテソは、漢との同盟か、高句麗(コグリョ)との同盟かで板挟みに。
兄弟として、王として、どちらを選ぶかに苦悩するが、
最終的に自らの責任を逃れるため“高句麗との同盟”を選択する。
感想
長年対立してきた兄弟が、ついに同じ方向を向く――。
そこには計算もあれば、心の奥に残る兄としての情もある。
テソの迷いと朱蒙の寛容さが、血のつながりの重さを静かに語る。
この同盟は「赦し」の第一歩でもあり、宿命に翻弄され続けた二人の関係が、
ついに“争い”から“理解”へと変わっていくきっかけとなる。
第78話:父子の再会、そして母のもとへ

ついに朱蒙は、自らの息子ユリと再会を果たす。
しかし、ユリの心には「なぜ自分たちを守ってくれなかったのか」という深い傷が刻まれていた。
父への怒りと愛情が入り混じり、二人の間には長年の“距離”が横たわる。
一方、イェソヤが生きていると知った朱蒙は、
ユリとともに山中へ向かい、懸命に捜索を続ける。
やがて彼らは、命の灯が消えかけたイェソヤを発見する。
朱蒙がその手を握りしめた瞬間、彼の目に涙が溢れる――。
感想
親子が再び巡り合うこの回は、シリーズ全体でも屈指の感動回。
戦いの英雄ではなく、“家族を取り戻した一人の男”としての朱蒙が描かれる。
イェソヤの穏やかな笑顔と、ユリの複雑な表情。
愛する者を守れなかった過去と、ようやく繋がった今。
この静かな時間の中に、『朱蒙』が貫いてきた「愛と赦し」のテーマが凝縮されている。
第79話:炎に包まれた工房、立ち上がるユリ

漢との決戦を目前に、高句麗(コグリョ)の鉄器工場が謎の火災に包まれる。
宿舎にいたユリも消息を絶ち、朱蒙は悲嘆に暮れる。
国の希望を失い、戦の準備も進まぬ中、
なんとユリは無傷で戻り、放火犯である漢の刺客を捕らえてくる。
だが、火災によって鉄器の生産が不可能となり、高句麗は絶体絶命の状況に。
人々が絶望する中、朱蒙は「国を救うのは力ではなく信念だ」と語り、再び人々を奮い立たせる。
感想
ここで描かれるのは、次世代への“継承”。
ユリが父の志を引き継ぎ、命を懸けて国を守ろうとする姿は胸を打つ。
炎の中に立ち上がる若き王子の姿は、まるで新しい時代の夜明けのよう。
朱蒙が国をつくり、ユリが未来を照らす――
親子の絆が確実に受け継がれていくことを象徴する名場面。
第80話:母として、国母としてのソソノ

国境地帯で朱蒙の命を狙うヨンチェリョン一派。
その中にいたのは、なんとソソノの息子ピリュだった。
ユリとの太子争いへの不安から、彼は陰謀に加担してしまう。
その事実を知ったソソノは、王妃である前に“母”として彼を抱きしめる。
「あなたを守るために強くなりすぎてしまったのかもしれない」
その言葉には、戦乱の時代を共に生き抜いた女性の優しさと後悔が滲む。
感想
ソソノは政治の表舞台で活躍する女性でありながら、
心の底には常に“母の愛”が流れていた。
息子を責めるのではなく抱きしめる――
その慈しみこそが、朱蒙の国を安定させた本当の力だったと感じさせる。
女性として、母としての強さがひときわ輝くエピソード。
最終話:戦いの終焉、そして未来へ

テソの改心により、ついに扶余(プヨ)と高句麗(コグリョ)が正式に手を結ぶ。
長年の確執を超えた“連合軍”が誕生し、
朱蒙は遼東(りょうとう)軍との最終決戦に挑む。
チュモンは巧妙な情報操作で敵軍を翻弄し、要衝・コヒョン城を攻略。
連合軍は圧倒的勝利を収め、宿命の戦いはついに幕を閉じる。
戦場の空に陽が昇り、民は涙を流しながら歓喜の声を上げた。
そしてその頃、ソソノは静かに決意を固めていた。
「私がそばにいれば、この国は次の世代が育たない」
彼女は朱蒙と国を愛しながらも、新しい道を歩むことを選ぶ。
感想
華やかな戦勝の裏で描かれるのは、“別れ”と“継承”の物語。
朱蒙とソソノ、それぞれが自分の使命を果たし、
互いの幸せを祈りながら別れる姿は、まさに人生そのもの。
戦いよりも静かな“心の平和”こそが、真の勝利だと感じさせる最終回。
涙と希望に満ちた、完璧な結末です。
まとめ|愛と誇りで築かれた「高句麗」の始まり
最終章(第77〜最終話)は、戦いではなく**「心の決着」**の物語。
- テソは復讐ではなく誇りを選び、兄として最後の名誉を取り戻す。
- ソソノは国母として国を見守りながら、自ら身を引く覚悟を見せる。
- ユリは父の志を継ぎ、未来の高句麗を担う希望となる。
- そして朱蒙は、“国を築いた英雄”から“人を導く王”へと昇華していく。
それは、争いの果てにたどり着いた「愛と赦しの物語」。
壮大な歴史の流れの中で、朱蒙たちが見せた“人間としての強さ”が、
時代を超えて今も見る者の心を震わせます。
ワンジョン編集部より
『朱蒙』最終章は、戦いよりも“人生の深み”を感じさせる名エピソードの連続です。
特に40代以上の女性が見ると、
ユファ・イェソヤ・ソソノといった女性たちの
「愛する者を守る覚悟」や「手放す勇気」に胸を打たれるはず。
華やかな戦や政治の裏にある、
“家族を思う優しさ”と“生きる力”こそが、このドラマ最大の魅力。
終わりに流れる余韻は、まるで長い人生を旅した後のような静かな感動です。

