韓国料理と日本料理のどちらにも欠かせない発酵調味料といえば「味噌」。同じ「大豆を発酵させた調味料」ですが、韓国と日本では違いがあります。最近では韓国食材をスーパーやネットで簡単に手に入れられるようになり、身近な存在になりつつあります。今回は、韓国の味噌の種類や特徴、日本の味噌との違い、そしてお互いの料理にどう応用できるのかをご紹介します。
韓国の味噌の種類と特徴
韓国で「味噌」といえば、主に『テンジャン(된장)』を指しますが、実は韓国にはいくつかのバリエーションがあります。

韓国の味噌①된장(テンジャン)
韓国を代表する大豆発酵味噌。大豆を煮て潰し、「メジュ」と言われるブロック型に形成してから自然発酵させ、塩水に数ヶ月漬け込んで熟成させます。香りが強く、やや酸味や苦味もあるため、テンジャンチゲ(味噌チゲ)などの煮込み料理に使われることが多いです。「メジュ」を元にしてコチュジャン・カンジャン(韓国醤油)も製造されます。
韓国の味噌②보리된장 (ボリテンジャン/麦味噌)
大麦を発酵させて作った味噌。テンジャンより塩味が控えめで麦の香ばしい風味と食感が特徴です。食物繊維が豊富で腸内環境改善に役立ちます。
韓国の味噌③청국장(チョングッチャン)
納豆のような強烈な香りが特徴の味噌。発酵期間が短く、糸を引くほど粘りがあります。栄養価が高く、腸活に良いとされることから、韓国では「健康食」として親しまれています。チョングッチャンチゲは「好き嫌いが分かれるけどハマる人は大好き」な料理。
韓国の味噌④쌈장(サムジャン)
テンジャンに唐辛子ペースト(コチュジャン)、にんにく、ごま油などを混ぜ合わせた合わせ味噌。サムギョプサルやサムパプ(野菜で巻いて食べる料理)に欠かせない万能ダレ。辛さと旨味、香ばしさが合わさって、日本人にもファンが多い調味料です。
韓国の味噌⑤속성된장(ソクソンテンジャン/即席味噌)
長期熟成を待たずに作られる味噌。市販されているものは発酵時間を短縮して作られています。伝統的なテンジャンよりもマイルドで食べやすいのが特徴です。
韓国の味噌と日本の味噌の違いを比較
韓国の味噌と日本の味噌を比べると、その違いは顕著です。
材料:日本の味噌は豆のほかに米麹などを使っていて甘みが強いです。一方、韓国の味噌は100%豆を主に使います。
発酵期間:日本の味噌は短い期間で発酵して明るい色を呈しますが、韓国の味噌は長く熟成され、濃い茶色になります。
味:日本の味噌は甘くて柔らかい風味に対し、韓国の味噌は深くて濃い旨味が特徴です。
日本の味噌は麹の存在によって「旨味と甘み」が豊かになります。韓国の味噌はシンプルに大豆と塩で作られるため、より力強い香りと味わいを持っています。日本の味噌は沸騰させると味が落ちると言われますが、韓国の味噌はしっかり沸騰させ、よく煮ることによって旨みを引き出します。

韓国味噌を日本の料理に使うとどうなる?逆に日本味噌を韓国料理に使うと?
韓国の味噌を日本料理に使う場合
味噌汁:テンジャンを使うと香りが強く、ちょっと韓国風のパンチが効いた味に。ワカメや豆腐よりも、じゃがいもやキノコ系の具と相性が良いです。煮れば煮るほどに旨みが強くなります。
煮物:韓国の味噌は似るほど香りが際立つので、魚の煮付けや肉じゃがに加えると「深み+少しクセのある旨味」がプラスされます。
味噌漬け:サムジャンで漬け込むとピリ辛&香ばしい味に。お酒のおつまみに最適。
日本の味噌を韓国料理に使う場合
テンジャンチゲ:白味噌や淡色味噌を使うと、優しい甘みのチゲに。発酵香が控えめで日本人好みの食べやすい味に。
サムジャン:赤味噌をベースにすると、コクが増して日本風アレンジに。ごま油やにんにく、コチュジャンでお好みの味に調節してみてください。
チョングッチャン:日本の味噌ではあの独特の匂いが出せないため、完全再現は難しいですが、豆味噌を加えると「似た濃厚さ」が出せます。
日本の味噌とマッチしそうな韓国料理はある?
日本に住んでいると、当然日本の味噌の方が手に入りやすいですよね。そこで、今回は韓国料理×日本味噌のペアリングを考えてみました。
白味噌 → サムジャン、ナムル和え、味噌ダレ(甘口でマイルドに仕上がる)
淡色味噌 → キムチチゲ、純豆腐チゲ(辛さの中に柔らかさをプラス)
赤味噌 → プルコギの下味、キムチ炒め(濃厚な旨味がマッチ)
豆味噌 → テンジャンチゲ、チョングッチャン
韓国の味噌も種類が豊富で美味しい!
韓国と日本の味噌は同じ「発酵食品」でも、発酵方法や麹の有無によって風味や使い方が大きく異なります。韓国の味噌は力強く、よく煮込むチゲやサムジャンに最適。一方、日本の味噌は旨味や甘みがあり、バリエーションも豊富。「韓国味噌を日本料理に」「日本味噌を韓国料理に」取り入れることで、新しい味わいが生まれるのではないでしょうか。韓国料理が好きな方はもちろん、普段の料理に変化をつけたい方にもおすすめです。おうちごはんに韓国×日本の味噌アレンジを取り入れて、毎日の食卓をもっと楽しくしてみませんか?