今回は、実際に韓国で引っ越しを経験した、韓国ならではの引っ越し文化や、日本との違いをお伝えしたいと思います!

韓国の引越しは「一日で完結」が基本?
韓国では、引っ越し=1日で完結するのが一般的。
特に都市部では「포장이사(ポジャンイサ)」と呼ばれる“梱包+運搬+設置”すべてをプロにおまかせする引っ越し業者を利用する人が多く、引越し当日の朝に業者が来て、夕方には新居で生活できる状態になっているというのがスタンダードです。
引っ越し料金は部屋の広さやエレベーターの有無、移動距離、住んでいる土地や業者などで異なりますが、ワンルームでも最低80万ウォン(約9万円前後)〜と、日本よりやや高めな印象。ただし、家具や食器の梱包、再設置まで全部やってくれるため、費用に見合った満足感があるのも事実です。
何よりとってもスピーディーに業者さんが動いてくれるので、安心してお任せできます。
日本と違う?韓国ならではの引越しの特徴

1. 家具・家電付き物件が多い(賃貸の場合)
韓国では、冷蔵庫・洗濯機・エアコン・電子レンジなどが備え付けの物件が多く、引っ越しのたびに買い替える必要がないのが特徴です。これは特に賃貸で住む場合のワンルームやオフィステル(ワンルーム型オフィス住宅)に多くみられるサービスで、家電を買いそろえる必要がなく初期費用が抑えられるメリットがあります。
2. 契約期間が短め
韓国では2年契約が一般的ですが、条件などがうまく合えば短期契約や月単位の契約も比較的しやすく、フレキシブルな住まい選びが可能です。(学生向けの物件などは特に)
一方で、更新時には保証金や家賃の再交渉が入ることも多いため、引っ越しを機により良い条件を探す人も多い印象です。
3. 不動産仲介手数料は折半
日本では借主側が負担することが多い不動産手数料ですが、韓国では貸主と借主が折半するケースがほとんど。そのため、契約時の出費が日本より少し抑えられる場合もあります。
4. 賃貸方式のバリエーションが多い(メメ・ウォルセ・チョンセ)
韓国で物件を探す際、まず理解しておきたいのが「賃貸方式の違い」です。
大きく分けて、以下の3つがあります:
①メメ(매매):
日本でいう売買。家を買って所有するスタイルです。
②ウォルセ(월세):
日本と同じく、毎月家賃を支払うスタイル。保証金(最初にまとめて払うお金)が設定されており、家賃は保証金額によって上下します。
③チョンセ(전세):
韓国特有の制度で、家賃を一切払わずに、高額な保証金(たとえば1,000万円以上)を入居時に預けて住むスタイル。契約期間終了後、保証金は全額返ってきます。一定期間、家主にまとまった金額のお金を預けて家主はそれを運用して利益を得る仕組みです。
特にチョンセは、まとまった資金が必要なものの、毎月の家賃負担がないため人気のある方式です。ただし、近年は保証金詐欺などの影響もありチョンセ物件が減り、ウォルセへのシフトが進んでいる印象もあります。
韓国独特の引越し後の「집들이(チプトゥリ)」文化とは?

韓国で引越し後に欠かせないイベントが「집들이(チプトゥリ)」=新居お披露目会です。これは家族や友人、職場の同僚などを新居に招いて、料理やお酒でもてなす、日本でいう引越し祝いパーティーのような文化です。
招待された側は、ちょっとしたプレゼントを持って行くのがマナー。定番の집들이(チプトゥリ)プレゼントにはこんなものがあります
・トイレットペーパー:長さにかけて、「新しい家に長く住めますように」という願いを込めてプレゼント。
また、スルスルとほどけていくようすから、「家庭内の問題がスルスル解けますように」という意味もあります。
・洗剤:泡立つ=繁栄や幸運を意味
・キャンドルやディフューザー:インテリア性も◎
・商品券やスターバックスのギフトカードなどの実用的なギフト
また、おもてなし料理は家庭的な料理をふるまったり、最近では配達(ペダル)をしておいしい料理をみんなで簡単に楽しむことも多いです。
【体験談】実際に韓国で引越し!
実は今年の3月、私も最近、韓国で引っ越しを経験しました!
日本と似ているようでも違う点が多くあったので、紹介していきます。
▶契約〜準備
引っ越し先は「아파트(アパトゥ)」と呼ばれる日本でいうマンションで、リビングを中心に部屋が配置されているため特にファミリー層に人気の物件です。
まず、知り合いの不動産屋さんに連絡を取り、見学〜契約まで約5日で完了。
私の場合は家を探し始めてから2か月ほどかかったのですが、夫の妹はなんと見学した当日に契約したほど韓国はとにかくスピーディーに契約が進みます。(特に賃貸の場合)
▶引越し当日
引っ越しのためにほとんど家具も買わず過ごしていたおかげでスピーディーに荷造りが完了。
新居では新しく家具や家電を買いそろえたため運ぶ荷物もほとんどなく、今回は自家用車で荷物を運びました。
韓国で業者さんに依頼して引っ越しを経験した日本人の友人は、引っ越し当日のスピーディーな荷造り、割れやすいガラス製品や食器類も丁寧に梱包され、家具はバラしてから運んでくれるプロの技に感動したとのことでした。
旧居から新居までの移動距離は車で15分程度でしたが、荷物も少なく昼過ぎにはすべての荷物が運ばれ、セッティングまで完了。
事前に購入して日にち指定していた家具や家電も次々に運ばれ、スピーディーに組み立てや設置が進められ、、あっという間に家らしくなりここでも韓国の効率の良さに驚きました。
▶引越し当日の昼食

日本では引越し後にそばを食べる人も多いかと思いますが、韓国では引越し後によく짜장면(チャジャンミョン)が食べられます。
引越した日は料理するのも外食に行くのも大変なので、出前ですぐ食べられるジャージャー麺を食べるようです。
▽韓国における、引っ越しとジャージャー麵の関係について、下記記事でも触れています。面白い文化ですので、ぜひあわせて読んでみてください!
韓国と日本では中華料理の定番メニューが違う?!│ジャージャー麵(짜장면)
▶집들이(チプトゥリ)開催!
引越し後1週間ほど経ってから、仲の良い友人を新居に招いて집들이(チプトゥリ)を開催。
友人たちはトイレットペーパーと芳香剤をプレゼントしてくれました(まさに韓国ならではのプレゼント)
新居での新しい思い出がまた一つ増え、韓国の引越し文化の温かさを実感できました。
まとめ 韓国の引越し事情を紹介!
今回の引越しを通して、改めて韓国の引越しは「文化体験」のひとつだと感じました!
日本と韓国では、引越しの進め方や制度に違いがありどちらも大変ですが、それぞれに良さがあり、特に집들이(チプトゥリ)文化は韓国の人とのつながりを感じられる素敵な風習でした。
韓国での新生活を迎える方は、ぜひ引っ越しそのものも「文化体験」として楽しんでみてくださいね